エビングハウスの忘却曲線とは?心理学的に復習のタイミングを解説!

人間はすぐに忘れる生き物ですが、その忘れ方には特徴があるんです。その謎は、忘却曲線というものに隠されています。忘却曲線とはどんなものでしょうか。それを心理学的に利用することで、復習のタイミングもわかりますよ!では早速みていきましょう。

忘却曲線とは

心理学者エビングハウスの忘却曲線

エビングハウスという心理学者が、自分を被験者にして記憶の研究をしました。とりわけ忘却、つまり一度覚えた内容を思い出すことができなくなること、についての研究です。その研究の成果が、忘却曲線なのです。忘却曲線とはこんなものです。(赤い線が忘却曲線です)

(出典:wikipedia)

  • 横軸は経過時間
  • 縦軸は節約率

で成り立っています。時間が経っていくにつれて節約率が低下しています。

節約率とは

エビングハウスの研究は、無意味つづり(単語として意味をなさない文字の連なり)を暗記する時間と、2回目に同じ内容を暗記する時間を測りました。もちろん、2回目のほうが、1回目よりも短時間で覚えることができるのですが、その時間の差に注目したのです。

  • 節約率とは、
    一定時間経過後、再び記憶し直すのにかかる労力(時間)をどの程度節約できたか

という考え方です。イメージを掴みづらいと思いますので、例を使って理解を深めてみましょう。

  1. 1回目は10分で覚えられたが、2回目は1分で覚えられた、とする
  2. 10分で覚えられるところを1分で覚えられた
  3. 10分-1分=9分、つまり9分節約できた
  4. 節約率は、9分÷10分=90%、つまり90%の時間を節約できた!(10%の労力だった)

と考えます。よく勘違いされるのですが、この90%という節約率の数字は、覚えていられた量ではありません。2回目は90%覚えていた、という意味ではないのです。

忘却曲線からわかること

忘却曲線と節約率の考え方を踏まえ、忘却曲線からわかることは、

  • 時間が経てば経つほど節約率が低下=覚えることの労力が増加する

ということになるでしょう。私達は感覚的にはなんとなく納得できる話ですよね。一度覚えても、時間が経てば忘れるのです。これは人間である以上、仕方ありません。むしろ、どんどん忘れていかないと、新しい情報を処理していくことができませんから、人間は必要ないと判断した情報をどんどん忘れていくのです。

そして、この忘却曲線の特徴は、まっすぐ右下がりの直線ではなく、はじめの一日でガクンと下がり、その後は緩やかに低下する曲線、ということなのです。一日経過時点での節約率は34%、つまり再び覚える労力を考えると、34%しか得しない、ということになります。たった一日経つだけでも、再び覚えることに労力(時間)がかかるということを意味しています。

忘却曲線の考え方から見る復習のポイント

ここまでで、一度覚えても一日経っただけでも、結局はもう一度思い出すのに苦労する、ということを確認してきました。記憶を維持するためには、復習が欠かせません。復習をすると、忘却曲線は再び上昇し、また時間が経てば下降していきます(先程の図の緑の曲線まで上昇するイメージです)。低下はするものの、その低下の程度は緩やかになります。

一日で34%の節約率まで低下することを踏まえると、一度覚えた内容は翌日に再び思い出すと良さそうです。それでもまだ2回思い出しただけですから、再び忘却してしまいますから、今度は3日後、その後1週間後、2週間後、1ヶ月後、とここまで繰り返すと、かなりの節約率になっており、思い出す労力は減り、ある程度記憶も定着するでしょう。

ここで、心理学的には、記憶が短期記憶から長期記憶に移動することになり、記憶の定着が図られます。短期記憶や長期記憶など、記憶の種類については、「実は記憶にはたくさん種類がある!?心理学で重要なものは?」という記事にも載せていますので、ご覧ください。

まとめ

心理学的に、エビングハウスの忘却曲線とは何なのか解説してきました。忘却曲線とは、

  • エビングハウスという心理学者が記憶の実験をもとに生み出した曲線
  • 時間が経過すればするほど節約率が低下
  • 節約率とは「再び記憶し直すのにかかる労力をどれほど節約できるか」
  • 時間が経てば経つほど、労力を節約しにくくなる
  • 特に一日後には節約率は34%まで低下

というものでした。また、これを踏まえると、復習のタイミングとしては、

  • まずは翌日に必ず復習
  • その後、3日後、1週間後、2週間後、1か月後、というように期間をあけて復習

というふうに、あまり時間を空けずに復習し、その後徐々に期間を空けて復習することで、記憶の定着させていく方法がいい、ということでした。これは、私自身、資格試験の勉強等で利用していた方法です。

なかなか細かくピッタリ1週間後に復習するのは難しいですが、まずは翌日に復習をやるのとやらないのとでは、その後の思い出し具合にははっきりと違いがあるのを経験的に知っています。手間ではありますが、適切なタイミングで復習をして、覚える労力を節約していきましょう!

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