知って損なし!認知バイアスの働きを理解し正しい意思決定を行う方法

人は、公平にものごとを決定したり、考えたりしているつもりでも、実は偏りのある見方をしています。それが、認知バイアスです。どんな認知バイアスがあるのか、認知バイアスがどんな働きをするのかを知り、誤った意思決定をしないようにしましょう。それでは順に確認していきます。

認知バイアスとは

認知バイアスとは、人間が起こす思考のクセや偏り、のようなものです。認知にバイアスがかかってしまい、事実とは異なる「思い込み」や「勘違い」をしてしまいます。その思い込みや勘違いの働きが科学的に研究され、認知バイアスとされました。それでは、順に見ていこうと思います。みなさんの普段の意思決定場面に当てはめて、想像してみてください。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分が「こうだ」という仮説を持つと、その理由や裏付けを探し出し、偶然な現象であっても必然だと思いこんでしまうバイアスです。根拠のない裏付けをしてしまうということです。例えば、

  • たまたま雨が降り続いただけなのに「雨女」「雨男」だと思い込む
  • たまたまそういう人がいただけなのに、やっぱり「A型は細かい」と思い込む

といったものです。人間は自分の考えが正しいと信じ込もうとするのですね。だって、そのほうが生きやすくなるからです。つべこべ考える必要がなくなります。しかし、そういった思い込みによって、偏った見方になっているのも事実ですね。

後知恵バイアス

後知恵バイアスとは、予測は不可能だった出来事に対して、「ああすればよかった」「こうしておけば防げた」などと、後だからわかることをあたかもそのとき予測可能だったかのように思い込んでしまうことです。例えば、

  • あのときの交通事故は、いつもの道を通らなければ防げた
  • 自分には能力不足だったから、やっぱり失敗した

などです。「ほらやっぱり」「そうなると思った」とついうっかり言ってしまう人は、この後知恵バイアスがかかっている可能性が高いですね。

正常性バイアス

正常性バイアスは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまうバイアスのことです。わかりやすい例が、非常ベルです。会社や学校で、非常ベルがなるとどう思いますか。非常事態だと思って安全な場所に避難しますか?多くの人が「避難訓練かな?」「どうせ誤作動だろう」と思って、周囲をきょろきょろ見渡すでしょう。

これはまさに、自分にとって都合の悪い「非常事態」という情報を無視しようとしているのですね。生死に関わる状況でも、人間の認知バイアスは働いてしまうのです。

感情バイアス

感情バイアスとは、自分が抱いている感情に引っ張られてしまい、情報を正しく認識したり判断したりすることができなくなるバイアスです。人は、たとえ相反する証拠があっても、心地よい感覚をもたらす肯定的な感情のほうと信じたくなるのです。自分にとって好ましくなく、苦痛を感じる事実は受け入れたくありません。

例えば、ギャンブルをしていて、一度当たり儲かったとします。そのときに「今日はツいている!」を嬉しくなり、そのままギャンブルを続けてしまう、という場合。自分の肯定的な感情に引っ張られて、当たりが続くはずがないという現実を受け入れられず、正しく認識できていませんね。

人間ですから感情があるのは仕方のないことですが、それに振り回されると、誤った判断をしてしまう可能性があります。

ハロー効果

ハロー効果は、人の顕著な特徴から、その人全体を判断してしまう効果のことです。よくある例を挙げると、

  • 東大出身、という情報から、「とても仕事ができる人」「頼りになる人」だと判断する
  • メガネを人を見て、「賢そうだ」と判断する

といったものです。その人の一つの特徴でしかないのですが、その一つから全体を推測してしまうのですね。正しい場合もあるでしょうが、それによって誤った人の評価をしてしまうこともあるはずです。

行為者―観察者バイアス

行為者ー観察者バイアスとは、自分の行動原因は、自分の外のこと(状況や出来事)のせいにし、逆に他人の行動原因はその人自身(性格や能力)のせいにしてしまうバイアスです。これも例を見て考えてみましょう。

  • プレゼンがが失敗したとしましょう。
    自分が失敗したときには「場所が良くなかった」「聴衆のノリが悪かった」。
    他人が失敗したときには「しゃべり方が下手」「声が小さい」。

つまり、自分のときが「自分のせいじゃない!」と主張して、他人のときには「この人のせいだ!」と完全に相手のせいにするのですね(;´Д`)自分には甘くて相手には厳しいです。どちらがいいというわけではありませんが、単純に決めつけてしまうと、判断を間違うかもしれませんね!

コンコルド効果(コンコルドの誤謬)

コンコルド効果とは、一度支払った費用やコストをもったいないと考え、引き際でもやめられず、その後の意思決定を誤ってしまう効果のことです。例を見てましょう。

  • 映画館で観ている映画がつまらなかったとき、すぐに退場することもできるのに、
    「お金を払ったからもったいない」と思って最後まで観る。

というものです。なぜコンコルドと言うかというと、昔、イギリスとフランスが超音速旅客機コンコルドを開発し、採算が取れないことが途中でわかったのですが、それでも運行を続けてしまったことに由来します。

私は大学時代の教養科目「経済心理学」でこの話を聞いたのを、なぜか今でも覚えています。利益と費用をシビアに計算する企業であっても、こういうことは起こってしまうのだな、認知バイアス恐るべし、と大きなインパクトを受けたからでしょう。

認知バイアスの働きを知って正しい意思決定を行うには

これだけたくさんの認知バイアスが働いているのを見てみると、バイアスに対応するのは難しいように思ってしまいます。ですが、あくまでバイアスは人間の頭の中で起こっている話。なんとかできることもあるはずです。例えば、まずは、

  • これら認知バイアスが我々人間には働いているのだ、という事実を知っていることが大事

です。日々客観的に自分が下した判断や、自分の行動を振り返る訓練をする必要があるでしょう。そして

  • 常に批判的になる

ことです。私達はバイアスだらけで意思決定しています。それはなぜかというと、人間が日々膨大な意思決定を行う中で、それら全てを正確な情報で分析しているととてつもない時間と労力がかかるからです。ある程度、「こういう場合はこうだよな」という傾向でもって決定しています。

ですから、認知バイアスそのものは仕方のないこととして、自分の意思決定を後から批判的に、客観的な情報を使って「これは正しかったのか」と振り返りましょう。

まとめ

認知バイアスには、

  • 確証バイアス
  • 後知恵バイアス
  • 正常性バイアス
  • 感情バイアス
  • ハロー効果
  • 行為者ー観察者バイアス
  • コンコルド効果

といった、ものがありましたね。それらの働きも一緒にみてきました。また、認知バイアスがある中でも正しい意思決定を行うには

  • 認知バイアスが働いている事実を知ること
  • 自分の意思決定に常に批判的であること

が大事でした。難しいことではありますが、自分にとって大事な決定場面であればあるほど、よくよく自分の判断を振り返り、何か認知バイアスが働いているのではないかと疑ってかかり、客観的に判断できるようになりましょう。

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