フロイトが唱えた錯誤行為とは?言い間違いは無意識のせいかも!

精神分析学で知られる心理学者のジークムント・フロイトは、無意識について研究する中で、「錯誤行為」の説明をしています。「錯誤行為」とはどんなものなのでしょうか。どうやら、言い間違いは無意識が関係しているようなのです。フロイトの唱えた錯誤行為について、少し勉強してみましょう!

錯誤行為のしくみ

錯誤行為とは

錯誤行為とは、言い間違い、書き間違い、ど忘れ、といったミスのことです。我々は日常的によくしていますよね。意識ではちゃんとしているつもりなのに、ついうっかり言い間違ったりするものです。しかもそれが、どうしても間違ってはいけない場面だったりします。

例えば、以前私の同僚が、仕事で手紙を書く際に、「いつもお世話になっております」と書くべきところを、「いつもお世話になっておりません」と書いてしまっていました。書き終わってすぐに同僚は気づいて、まさかこんな間違いをするとは!、と笑っていました。

このようなミスは、疲れているから、興奮しすぎていたから、他のことに注意が向いていたから、というような理由で、普段私達は片付けがちですが、本当にそうでしょうか?その多くには何か力が働いているのでは?そう考えたのが、フロイトです。

錯誤行為には無意識が関係している?

私達は普段、物事を考えたり行動したりすることは全て意識的にしていると思いがちです。しかしフロイトは、意識できる部分は氷山の一角でしかない、と唱えました。フロイトは、人間の考え、行動、心は、意識をはるかに凌ぐ巨大な「無意識」によって支配されている、と考えました。

意識的に行動していると思っている行動も、実は無意識による影響を受けていると考えるのです。そして、錯誤行為にも無意識が影響していると考えます。つまり、私達の錯誤行為は無意識の願望の表れなのです。

錯誤行為が起こる根本原因は、

  • 「妨害される意向」と
  • 「妨害する意向」

が無意識で葛藤しているから、と考えます。その葛藤という不快な状況から逃げるために、言い間違ったり書き間違ったりするのです。

錯誤行為の例

例を用いながら、もう少し解説します。例えば、先程の私の同僚の例では、「お世話になっております」と「お世話になっておりません」を書き間違えたのでした。これは、「仕事上『お世話になっております』と書くけれども、本当は『お世話になっておりません』と書きたい」という無意識の願望の表れであると考えます。

実際、書き間違えた手紙の宛先は面倒な会社で、私達従業員は皆あまり関わりたくないと思っていた会社でした。そのほかにも例えば、重要な会議を開会する場面で、議長が「それではここに閉会を宣言致します」と言い間違ってしまう例もあります。これは、本当は「閉会したい」と思っている無意識の願望が表れているのですね。

また、ど忘れの仕組みはわかりやすいです。単純にそのことを「忘れたい」という無意識の願望があったから、忘れてしまっているのです。そのほかの些細なミスも、実は無意識の願望があって、その影響を受けてミスをしてしまっている可能性があります。

まとめ

フロイトが唱えた錯誤行為とは、

  • 言い間違い、書き間違い、ど忘れといったミス

のことでした。そして錯誤行為は、

  • 「妨害される意向」と「妨害する意向」の不快な葛藤状況から逃げるための
  • 無意識の願望の表れ

と考えられるのでした。ついうっかりミスで言い間違うなんていうことは日常的にありますが、誰かが言い間違えたときに、この錯誤行為の考え方を使うとおもしろいです。もし誰かが言い間違えたら、「あ、この人は実はこう望んでいるんだな、それが本音なんだな」と密かに思いながら観察してみましょう!人間関係において、新たな発見があるかもしれません^^

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