現役公認心理師が解説!大卒社会人が公認心理師の受験資格を得るルート!

平成29年に公認心理師法が施行され、心理系資格初の国家資格「公認心理師」が誕生しました!心理系のお仕事に興味のある方は、国家資格なのでぜひとも取ってみたい資格だと思いますが、今社会人で大卒の人は、公認心理師はどのようにして得られるのでしょうか。

実はこの受験資格を理解するのは少し難しいので、順に解説してみたいと思います。では早速、大卒社会人が公認心理師の受験資格を得るルートを見ていきましょう!

まずはこの3つの受験資格ルートを理解!

公認心理師の受験資格を得るルートは、細かく分けると全部で8つ(区分A~区分G、ただしDはD1とD2)あります。つまり、受験資格を得る方法が8通りあるということです。それらは公認心理師法やその他の施行規則で決められています。

8つのルートすべてを今すぐご覧になりたい方は、公認心理師の資格試験を運営している日本心理研修センターの「受験資格取得ルート」をご覧ください。ただし、法律の事も書いてあるので難しいです…いきなり8つを理解するのは難しいので、少しずつ消化していきましょう!8つもありますが、まず次の3つから順番に進めます。

① 大学+大学院:区分A

区分Aは、

  • 大学(短大を除く)で施行規則第1条で定める科目を修めて卒業、かつ、
  • 大学院で施行規則第2条で定める科目を修めて修了した者

が得られる受験資格です。「施行規則第1条で定める科目」として、公認心理師法施行規則では、次の通りに明記されています。

一 公認心理師の職責

二 心理学概論

三 臨床心理学概論

四 心理学研究法

五 心理学統計法

六 心理学実験

七 知覚・認知心理学

八 学習・言語心理学

九 感情・人格心理学

十 神経・生理心理学

十一 社会・集団・家族心理学

十二 発達心理学

十三 障害者・障害児心理学

十四 心理的アセスメント

十五 心理学的支援法

十六 健康・医療心理学

十七 福祉心理学

十八 教育・学校心理学

十九 司法・犯罪心理学

二十 産業・組織心理学

二十一 人体の構造と機能及び疾病

二十二 精神疾患とその治療

二十三 関係行政論

二十四 心理演習

二十五 心理実習(実習の時間が八十時間以上のものに限る。)

多いですね…!これらに対応するカリキュラムを作成し、公認心理師を養成しようとしている心理系学部も多くあります。ここに一覧がありますが、詳細は各大学に尋ねるのがいいと思います。

続いて、大学院で修める「施行規則第2条で定める科目」は以下のように明記されています。

一 保健医療分野に関する理論と支援の展開

二 福祉分野に関する理論と支援の展開

三 教育分野に関する理論と支援の展開

四 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開

五 産業・労働分野に関する理論と支援の展開

六 心理的アセスメントに関する理論と実践

七 心理支援に関する理論と実践

八 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践

九 心の健康教育に関する理論と実践

十 心理実践実習(実習の時間が四百五十時間以上のものに限る。)

こちらも多いです…!大学院に関しても同様で、多くの心理系の大学院がこれらの対応したカリキュラムを提供しようとしています。こちらをご覧ください。これまで、臨床心理士に対応したプログラムを提供してきた大学院が、ほとんど当てはまるようですね。

区分Aは、法律で定められた科目に対応させたカリキュラムを提供する大学、および大学院で取得できる受験資格でした。ということは、受験資格を得るまで6年かかります。

② 大学+実務経験:区分B

区分Bは、

  • 大学で施行規則第1条で定める科目を修めて卒業
    その他施行規則第4条第2項で定める者、かつ
  • 施行規則第5条で定める各施設で、2年以上、
    法第2条第1号から第3号までに掲げる行為の業務に従事した者

が得られる受験資格です。要するに、1つ目は先程見た区分Aの1つ目とほぼ同じと理解しましょう…。2つ目はつまり「2年以上の実務経験が必要」ということです。「施行規則第5条で定める施設」、「法第2条第1号から第3号」はそれぞれざっくりとした規程がされていますね。

区分Bでは、大学院で学ぶ必要はありませんが、2年の実務経験が求められます。どれほどの実務経験が必要なのかは、この区分Bで公認心理師を取得した方がまだいない以上、現状ではなんともいえません。

③ ①と②の同等以上の知識・能力を有するもの:区分C

区分Cは、

  • 外国の大学に置いて心理に関する科目を修めて卒業、かつ
  • 外国の大学院において心理に関する科目を修めて修了した者等

が得られる受験資格です。外国で、大学院まで進学して心理を勉強してきた方が得られる受験資格です。そこまで勉強されていたら、おそらく研究職を目指している方が多くて、もはや公認心理師は必要なさそう…とも思ってしまいます。

大卒(心理系学部)なら経過措置が使えるかも!

ここまで見てきましたが、公認心理師という資格はスタートしたばかりですので、大学や大学院での公認心理師に対応したカリキュラムを受けた人がまだいないので、現状では区分AやBで資格を取得した人はまだいません。しかし、もしあなたが心理系学部出身の大卒なら、経過措置を使うと受験しやすくなるかもしれません!

履修した科目を読み替えられるかチェック

過去に大学で修めた科目が、はじめに確認した「施行規則第1条で定める科目」に読み替えられる、というシステムです。心理系の学部出身者なら、もしかしたら読み替えが適用できるかもしれません。できるかどうかは、出身大学に問い合わせてみてください。

もし読み替えができるとなると、先程の区分Aと区分Bの1つ目の大学に関する部分はパスできることになります。つまり残りは、大学での科目の読み替えに加えて

  • 区分Aのように、
    大学院で施行規則第2条で定める科目を修了した者(区分E)
  • 区分Bのように、
    施行規則第5条で定める各施設で、2年以上、法第2条第1号から第3号までに掲げる行為の業務に従事した者(区分F)

となります。区分Eなら、これから公認心理師に対応したカリキュラムを提供している大学院を修了することが必要ですね。区分Fなら、施行規則に定められた施設での2年以上の実務経験が必要になります。

このように大卒といっても心理系学部出身で、科目の読み替えができれば、受験資格を得るまで時間を短縮できるんですね!

そのほかDルート(公認心理師法施行前に大学院で必要科目を履修)、Gルート(実務経験5年+現任者講習)も、経過措置として存在しますが、その方々はすでに心理職を目指して大学院に在学していた方か、現役でバリバリ働いている方対象ですので、ここでは説明を省略します。

大卒(心理系学部以外)なら大学編入からスタート!

では、心理系以外の学部出身の大卒社会人の人は、残念ながら経過措置が使えません。では、方法としては区分Aかあるいは区分Bになります。

確実な方法は区分A

公認心理師の受験資格を得るために確実な方法は、区分Aでの方法だと思います。というのも、区分Bでは実務経験が必要になりますが、必要な2年の実務経験がどの程度のものなのか、まだはっきりしていませんし、実務経験を得られる仕事が簡単に見つかるかどうかもわかりません。

そういった意味では、区分Aで公認心理師のカリキュラムを得るために大学から行き直し、そのまま大学院で勉強するという方法が確実でしょう。もしかしたら、3年生からの編入もできるかもしれませんので、大学に問い合わせてみてください。

大学院へ行くなら臨床心理士も両方取ってしまおう!

先程もあったように、区分Aで公認心理師に対応したカリキュラムを提供している大学院は、臨床心理士の受験資格を取得できる大学院であることが多いです。公認心理師の資格を取るなら、臨床心理士の資格も一緒に取ってしまいましょう!

まとめ

公認心理師の受験資格を得るルートには、

  • 大学+大学院で公認心理師に対応したカリキュラムを修了
  • 大学で公認心理師に対応したカリキュラムを修了した後に実務経験2年
  • 外国の大学と大学院で心理の科目を修める

の3つがありました。そして、現在、大卒社会人の人の場合、

  • 心理系学部出身で科目読み替えができれば、
    大学院で公認心理師対応のカリキュラムの修了、または2年の実務経験
  • 心理系学部出身でなければ、公認心理師対応のカリキュラムを大学から勉強し直し

の2つに場合分けできましたね。皆さんはどのパターンに当てはまるでしょうか。大学から行き直す場合は大変なように感じますが、それだけ濃密な学生生活を送ることができますよ!決して無駄な時間にはならないはずです^_^

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