臨床心理士と公認心理師の両方を取るべき3つの理由!そもそも違いは?

これから心理系の資格を取ろうと思っている方は、臨床心理士と公認心理師、どっちを取りますか?…いえ、取るなら両方取るべきです!それにはちゃんと理由があります。その3つの理由を確認していく前に、そもそもその2つの資格の違いも確認しておきましょう!

臨床心理士と公認心理師はそれぞれどんな資格か

臨床心理士も公認心理師もどちらも、心を扱う専門家、には違いはありません。しかし、そもそも、公認心理師と臨床心理士はそれぞれどんな資格で、どう違うのでしょうか。しっかり確認してから、両方の資格を取るほうがいい理由3つを見ていきましょう。

臨床心理士という資格の特徴

臨床心理士という職業は、テレビドラマや映画でその仕事を取り上げられる機会が増え、世の中には浸透してきました。名前は聞いたことがあるなー、という方が多いのではないでしょうか。

臨床心理士については、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が、以下のように定義しています。

「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。

つまり、臨床心理学をもとにしてこころの問題を扱う専門家なのですね。

臨床心理士の特徴としては、

  • (公財)日本臨床心理士資格認定協会という民間団体が認定する資格
  • 1988年から存在し、認知度が高い
  • 受験資格を得るためには必ず大学院への進学が必要

という3点です。

これから何か心理系の資格を取ろうと目指している方にとって、臨床心理士という資格は大学院進学、が大きなハードルになっているかもしれませんね。

公認心理師という資格の特徴

公認心理師は最近作られた資格です。一般財団法人日本心理研修センターは、公認心理師という資格を次のように説明しています。

公認心理師は,心理学に関する専門的知識及び技術をもって,心理に関する支援を要する方の心理状態を観察・分析し,関係する多職種との連携を図りながら支援を要する方やその関係者に対して助言・指導その他の心理に関する援助を行い,国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的としています。

つまり、心理学全般の知識をもって心理に関する援助をする専門家なのですね。

公認心理師の特徴としては、

  • 公認心理師法」に基づく、心理の分野に基づく日本初の国家資格
  • 2018年に第一回公認心理師試験が実施された
  • 受験資格を得るためには、必ずしも大学院進学は必要ない

という3点です。

最近スタートした資格であり、大学院に絶対進学しないといけないわけではないという点において、受験資格はやや緩めです。これから心理系の資格を取ろうと思っている方にとっては、挑戦しやすく感じられそうです。

臨床心理士と公認心理師の違い

これまで、臨床心理士と公認心理師という資格をそれぞれ確認してきましたが、それぞれの職務の違いは大きくありません。どちらも、心の専門家に違いはないですし、活躍の場も、医療、教育、福祉、産業、司法といった分野になるでしょう。しかし、それぞれの資格としての違いはあります。それは、

  • 民間資格か国家資格か
  • 昔からある資格か最近できた資格か
  • 受験資格に大学院進学が必要か必要でないか

違いはこの3つに集約されるでしょう。このように比べてみると、違いは大きいと思いませんか?これから資格取得を目指す方は、この違いをしっかりと踏まえて、どの資格を目指すのか慎重に検討したほうが良さそうですね。

両方を取るべき理由

ここまで、臨床心理士と公認心理師という資格について、そしてその違いについて、順に確認してきました。心理の専門家として私がここでお伝えしたいのは、現状ではずばり、両方の資格を取るべき、ということです!では、その理由を順に説明しましょう。

公認心理師は国家資格

公認心理師は国家資格なのです。文部科学省と厚生労働省の共管、つまり2省で公認心理師という資格を管轄しています。つまり、公認心理師を取れば、

  • 心の専門家として、国から認められている

ということを意味します。国家資格ですから、その他の医療系の国家資格、例えば医師、看護師、薬剤師、作業療法士…といった資格と同じような位置づけですね。また、公認心理師という資格について、その職務内容や規程、罰則なども公認心理師法にバッチリ明記されています。

こういった国からのバックアップは、臨床心理士にはありません。その点においては、公認心理師のほうが臨床心理士に比べ、社会的な信用度は格段に上なのです。ですから、公認心理師という国家資格は取っておくべきでしょう。

臨床心理士は実績がある

一方で、臨床心理士を取るメリットもあります。それは、

  • 臨床心理士には、これまでの実績と評価がある

ということです。今回、公認心理師という国家資格ができるまで、臨床心理士は民間資格でありながら、心の専門家としてその分野を牽引してきました。

その意味で、さまざまな領域で実績は作ってきています。学校に配置されているスクールカウンセラーにはやはり臨床心理士保持者が多いですし、病院でカウンセリングをしようと思ったらやはり臨床心理士です。また、取得するためには大学院を修了する必要があるのですから、臨床心理士資格保持者は、相当の専門的な勉強を積んでいるという評価があります。

一方で、公認心理師は2018年9月に第一回公認心理師試験が行われ、資格保持者が少しずつ増えている状態です。公認心理師が今後どのように活躍していくのか、その実力はまだまだ不透明です。

いくら国家資格とはいえ、現状では大学院を修了している臨床心理士のほうが専門性が高く実績もあるため、当面は雇用する側としては臨床心理士の方を選択するのではないか、という声もあります。就職する点を考慮すると、臨床心理士のほうが当面はメリットが大きそうなのです。

両方取るのは意外と簡単

公認心理師と臨床心理士の両方を取っておくことが、公認心理師の状況が不透明な現状では、無難な選択です。しかも、両方の資格を取ろうとすることは大変なように思うかもしれませんが、実はそんなに大変ではないのです。両方を取るためには、

  • 臨床心理士と公認心理師の両方の受験資格を満たす大学院を修了すればいい!

ということになります。臨床心理士の受験資格を得るために公認心理師の資格が必要な点はすでに見てきましたね。公認心理師は大学院に進学する必要はないのですが、大卒だけで受験資格を取るには、5年の実務経験が必要なのです。5年って長いですよね…そんなに待てない…(-_-;)

そんな方にとっては、大学院で必要な科目を履修してしまえば、一石二鳥で両方の資格を取れてしまう、というわけです。意外と簡単なんですよね。もっと詳しく公認心理師の受験資格を知りたい、というかたはこちらを参考にしてください。今後、資格取得を目指される方は、区分A、区分B、区分Cのルートとなります。また、大学院進学パターンは区分Aのことです。

まとめ

公認心理師と臨床心理士の違いには、

  • 民間資格か国家資格か
  • 昔からある資格か最近できた資格か
  • 受験資格に大学院進学が必要か必要でないか

がありましたね。そして、公認心理師と臨床心理士の両方の資格を取るべき3つの理由は、

  • 公認心理師は臨床心理士に比べ国家資格のため社会的信用度が高い
  • 臨床心理士にはこれまでの実績と評価があり、公認心理師に比べ就職しやすいかもしれない
  • 大学院に進学すれば両方の資格をとることはそれほど手間ではない

という3点でしたね。

大学院に進学する費用はかかりますが、心理職で食べていくためには、資格は武器になります。それに、今後、臨床心理士と公認心理師のどちらが優位になっても、両方あれば融通がききますよね!

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