心理カウンセラーは、相談に来た人の話を聴いて心の支援をする専門家です。専門家だからこそ、向き不向きはあるのでしょうか。
心理学を学び、カウンセラーになる訓練も受けている経験をもとに、カウンセラーに向いている人、向いていない人、をそれぞれご紹介します。それでは早速、見ていきましょう!
カウンセラーに向いている人
話を聴くのが好き
心理カウンセラーは、カウンセリングをする以上、人の話を聴くのが仕事です。ですので、当然、話を聴くことが好きでないとできない仕事でしょう。
例えば、日常でこのようなことに当てはまる人は向いているかもしれません。
- 自分が話すより相手の話を聴くほうが多い
- 友だちからの悩み相談を受けると気分が良い
- 大人数でワイワイするより、じっくりと一人の話を聴くほうが好き
ただ話を聴けばいい、という単純なものでもありませんが、少なくとも同じ人から何回も話を聴くことが多くなるので、聴くのが好きでないとできませんね。
相手を理解しようと努力ができる
心理カウンセラーは、クライエント(相談に来た人のことを「クライエント」と呼びます)の話を聴くことから、クライエントのことを深く理解していこうとします。実はこれ、結構難しいことなんです。
例えば、学校に行けていない高校生のクライエントが相談に来たとします。そして、そのクライエントのことを理解しようとして、一日の過ごし方を尋ねてみると、一日中ネットゲームをしていると言うんです。
- ネットゲームのことに詳しいとかやったことのある人であれば、クライエントの話もわかるかもしれません。
- しかし、全く知らないとしても、ネットゲームが学校に行けていないことにも関係していそうだと判断した場合、興味を持って聴いていく必要がありそうです。
日常の会話で興味のない話を聴くのは、わりと苦痛ですよね。笑
しかし、カウンセリングとなるとそうはいきません。クライエントの問題を把握するためには、たとえ興味のない話であっても、理解しようと努力できる人でないとカウンセラーにはなれません。
冷静な判断ができる
心理カウンセラーは、クライエントの話をじっくり聴きますから、どうしてもクライエントと同じ立場に立って喜んだり、悲しんだり、といった感情を感じます。
カウンセリングを通して、カウンセラーも当然いろんな気持ち、感情、情緒を感じます。しかし、この気持ちに振り回されていると、クライエントにとって本当に必要なことが見えなくなるのです。
ですから、
- クライエントに共感しつつ、
- 頭の中はクリアに、冷静な判断ができる状態
である必要があります。
その切替えが上手くできる人であればあるほど、良いカウンセラーになれるはずです。
カウンセラーに向いていない人
偏った意見を押し付ける
カウンセリングでは、カウンセラーに「無条件の肯定的関心」という態度が求められます。「無条件の肯定的関心」とは、相手の言動や感情を無条件に、価値判断することなく受け入れることです。
つまり、クライエントがどんな意見を持っていようとも受け入れるのです。受け入れることでクライエントはもっと話したいと思います。
もちろん、受け入れがたい考えもあるでしょう。例えば、「不倫」!「不倫は良くないからやめるべきです」というカウンセラー個人の意見を押し付けてしまえば、クライエントは「この人は話を聞いてくれない」と思ってカウンセラーから去っていくでしょう。
カウンセラーの意見を変えなければならないわけではありません!が、自分の意見を押し付けてしまいがちな人は、カウンセラーには向いていないでしょう。
学び続ける努力をしない
心理学分野では、常に新しい理論や心理療法など新しい知見が生まれています。これまでの常識的な考えが、数年後に古い考えとなることもしばしばです。
よって、クライエントにとって最善のカウンセリングを行うためには、最先端の情報を仕入れておくことも必要になるでしょう。常に学び続ける努力をしなければならないのです。
例えば
- 学会
- 研修会
- ワークショップ
に参加し、持てる知識と技術を向上させる努力を続けていくことが求められます。継続的な学びができない人には、大変な仕事かもしれません。
「向いている」と思うよりもいかに謙虚であるか
私がこれまで接してきた臨床の現場で活躍している先生方や先輩の中で、「自分はカウンセラーに向いている」と自信をもって思っている人はいないように思います。
それよりも、
- 「これでよいのだろうか」と常に自分に問いかけて、
- 謙虚な姿勢でカウンセリングに臨む
という方が多いような印象です。
つまり、カウンセラーの向き不向きを気にするよりも、いかに謙虚に自分のカウンセリングを振り返り、自分に向き合い、技術を高めていけるかというポイントのほうが重要のようです。
まとめ
心理カウンセラーに向いている人は
- 話を聴くのが好き
- 興味のない話でも理解しようと努力できる
- 共感しつつ冷静な判断ができる
という特徴をもつ人でした。一方で、向いていない人は
- 自分の意見などの偏った意見を押し付ける
- 学び続けて技術を向上させる努力をしない
というような人でした。また、重要な点として
- 向いていると確信をもつよりも、謙虚に自分のカウンセリングを振り返る
ということが必要でした。
向き不向きを理解しつつも、心理カウンセラーは常に自分のカウンセリングに向き合い、学び続ける姿勢が求められる仕事だと言えそうですね。