大人になってから、自分はADHDかもしれない、と気づく人はたくさんいます。最近はADHDという言葉が浸透してきたからか、そう思う方は増えてきました。では、大人のADHDの特徴にはいったいどんなものがあるのでしょうか。また、気になって診断してもらいたい場合には、どうすればいいのでしょうか。
いろんな疑問が湧いてきますね。ではさっそく確認していきましょう!
ADHDとは?
ADHDとは、Attention Deficit Hyperactivity Disorderの略称で、注意欠如・多動症のことを言います。「発達障害」と呼ばれる障害の一つです。
発達障害とはそもそも、生まれ持った発達上の特性にアンバランスがあり、それによって日常生活に支障をきたしている状態です。誰しも、それぞれの特性にはばらつき、つまりアンバランスがあって当然で、それが「個性」として社会的に受け入れられることも多いです。しかし、それによって本人、あるいは周囲の人が困っているとなると、「障害」となるのですね。
ADHDの特徴は、
- 不注意(注意力散漫)
- 多動性(落ち着きがない)
- 衝動性(思いついたらすぐ行動する)
の3つに代表されます。
それぞれのADHDの特徴は、たとえ子どもでも大人でも一緒です。
大人のADHDは、幼少期にその特徴に気づかなかっただけ!?
ADHDも含めて発達障害全般に言えることですが、脳内の神経系に何かしら問題があって生じているものなので、その特徴は子どもの頃から存在しているはずです。ゆえに、大人になってから急にADHDになる、ということはあり得ません。
しかし、大人になってから気がつく、ということはよくあります。
例えば、子どものころは周囲の環境が良くて、
- 不注意の症状については…
忘れ物をしたって、優しい友だちがいつも貸してくれたから平気だった!
テストでケアレスミスをしたって、親から怒られなかった! - 多動性の症状については…
授業中、集中できていなくても、そもそも学級自体荒れていて気にならなかった! - 衝動性の症状については…
人の話を最後まで聞かずに返事をしてしまっても、「そういうやつだ」と思われていた!
などのような状態だったために、幼少期にはADHDの症状にそもそも気づかなかったという場合が大いにあります。
大人のADHDと子どものADHDの違い
では、最近世の中でよく聞く「大人のADHD」という言葉は、子どものADHDと何が異なるのでしょうか?
それはずばり、特徴の現れ方です。さきほど挙げた3つの特徴(不注意、多動性、衝動性)について、大人と、子どもでは特徴の現れ方が異なります。簡単にまとめると、
大人になると、
- 多動性・衝動性が目立たなくなり、
- 不注意が目立つようになる
と、一般的に言われています。原因はよくわかっていませんが、例えば、社会人になるとそれなりに責任が出てきて、自分で計画を立てて仕事を進めていく機会が増えます。あるいは、チームを組んでプロジェクトに参加したりして、全体の流れを見ていく必要が出てきます。
そんなときに、不注意によるケアレスミスが続くと、周囲に迷惑をかけ、上司から叱責され、、、ということが続き、「職務に影響が出るほどミスが多い」と感じて、ADHDに気がつく場合があります。そしてご自身で調べてみて、「自分はADHDかもしれない…」と思って診断をもらいに精神科を受診される方もいます。
大人のADHDの特徴
それでは、さきほど挙げたADHDの特徴3つ(不注意、多動性、衝動性)を、大人の場合どのように現れるのか、例を挙げてみていきましょう。
特徴1:不注意
先程から述べていますように、子どもの頃から特徴としては存在していても、大人になると特に不注意が目立つことが多いようです。そのため、不注意の特徴がADHDの発見、診断につながるきっかけともなります。
例えば、こんなことはないでしょうか。
- 仕事でケアレスミスをする
何度見直しても気づかない - 忘れ物が多い
しかも、財布、家の鍵、スマホなど重要なものをよく忘れる - 仕事の計画をうまく立てられない
時間の管理ができず、計画通りに進められない
誰しもが経験のあることだと思いますが、それがあまりに頻繁で、日常生活に支障をきたしているかどうかが、障害となる分かれ目です。
特徴2:多動性
続いて、多動性については、子どものころであれば「落ち着きのない子」と言われていることが多いようですが、大人になってからの特徴は、次のように現れます。
- 集中しなければならない会議のような場面であっても、なんだかそわそわする
本人は意識がなく、指摘されて気がつく - じっと集中して作業に取り組むことが難しい
別のものにすぐに気を取られてしまう
これも誰しも経験したことがあることですが、ずっとそういう傾向にあれば、仕事にも支障が出そうですよね。
特徴3:衝動性
最後に、衝動性については、子どものころであれば「人の話を最後まで聞かずに答える」という傾向があることもあるようです。大人になってからの症状は、次のように現れます。
- その時に思ったことをすぐに口に出してしまう
あとから「言うんじゃなかった」と後悔することが多い - 衝動買いをしてしまう
後先考えずに行動する
こちらも誰しも経験はあると思いますが、その程度がひどいと、人間関係や、金銭面にも問題が出てきそうですね。
ADHDを診断してもらうには?
ここまでの大人のADHDの特徴を読まれて、自分はADHDかもしれない!と思われた大人の方は、ぜひ、こちらのチェックテストをしてみてください。あくまでチェックテストでしかないので、正式にADHDを診断できるものではありませんが、目安にはなると思います。
でも、実際に診断をしてもらいたい、と思われた方は、精神科に相談することをおすすめします。しかし、精神科であっても発達障害を診断できる精神科医は実は多くありません。発達障害の診断は、結構難しいものなのです。
- 幼少期は、症状や特徴はどうだったか(何歳から症状があったのか)
- 現在どれほどその症状や特徴によって困っているか
- どの場面で困っているのか(学校、家庭、会社…)
など、診断をつけるためには、いろんな情報収集が必要になります。特に、大人のADHDであっても、幼少期の情報は、親御さんに聞いてみないとわからないこともあります。アンケートを書いたり、心理検査を受けなければならない可能性もあります。事前に、発達障害、ADHDの診断をしてもらえるのかどうか、病院に問い合わせるほうがいいでしょう。
まとめ
ADHD(注意欠陥・多動症)とは、
- 発達障害の一つで
- 不注意・多動性・衝動性という3つの特徴が現れる
ということでしたね。
そして、大人のADHDの特徴としては、
- 不注意としては、仕事でミスを繰り返したり計画をうまく立てられないこと
- 多動性としては、会議でそわそわしてしまったり、集中して作業に取り組めないこと
- 衝動性としては、思ったことをすぐ口に出してしまったり衝動買いをしてしまうこと
がありました。診断をしてもらうには、まずは精神科に問い合わせて、ADHDの診断をしてもらえるのかどうかを確認してからにしましょう。どの人にも当てはまりそうな特徴ばかりですが、それらで本当に困っている人もいます。早く専門家に相談してみたら、少し楽になるかもしれませんね。